こんにちは。ひろASD@ひろです!
※この記事は、ひろとその友人「少年A」についてのお話です。
息抜きの読み物程度に楽しんでいただいて、ちょっと笑っていただけると嬉しいです。
私と少年Aの出会いは、大学生の時。
同じ経済系の授業を選択していたのがきっかけです。
理系なのに経済系の授業をとったのはシラバスに「世の中はお金で動いていることを理解する」と書いてあったのをみて、「なにこれ、すき。」となったからなのですが…それはおいといて。
※シラバスとは、授業計画、単位数や内容について書かれた授業のカタログのようなもの。
この授業がまぁとても難解でした。
授業中起きてたのは、私と友達くらいのもので大半、7割くらいが寝ていたと思います。
当然そんな中、発言していたのもほぼ私たち二人だけ。そんな授業でした。
試験が差し迫ったある日のこと。彼が私に、こう聞いてきたのです。
「ひろさん、ノート貸してもらえませんか」
誰だこの人
私の感想はこの程度でしたが、ノートはとりあえず貸しました。
理由は、かわいい顔してたから。それだけです。
あとは自分のノートを他人が見たところで、他人のノートというのはどれだけ綺麗にまとめてあっても見にくいもの。
私にしか優しくないノートだと知っているので、自分が頑張ったノートを見せることに対して抵抗もなく貸したのでした。
そして試験も終わり、しばらく立った頃。
彼が私に「ひろさん、単位は落としちゃったんだけど、あの時はノートありがとう。これあげるよ」と差し出してきたのは当時彼がはまっていたワインのコルク。
嬉しそうにこのワインね!といきなり語りだす。ビミョーに合わない目線。それでも話はとまらない。
いや、話すの2回目なんだけど
そんな彼を見て、当時まだ(自称)発達障害の私が思ったのは、「あーこちらがわの人だ。やばいやつだ笑」
そして、「私のノート見ておいて、単位落としたとか許さん」でした笑
そんなこんなで彼は無事、「誰?」から友人「少年A」になったのです。
少年Aとはこの後、卒業まで何だかんだ仲良くしていました笑
遊びに行ったり、ご飯に行ったりそんなことは一度もなかったのですが何やかんや講義で会うと話してました。
理由は簡単、こちらがわだと思っている人と話す時、こちらもある程度フィルターを外して気兼ねなく話すことが出来るからです笑
彼を通して、ある意味私はやばさを実感していました。
例えば彼は、私のゼミの女の子をなぜかやたら怖がっていました。
※ゼミとは、大学生が所属する各教授の研究室のこと。
キリッとした目鼻立ちとハキハキ思っていることを話す女の子だったので、まぁ分からなくもないのですが、
彼女は優しく自分の意思を持った女の子。別に他人をとって食べたりしません笑
なのに彼は、話したこともないのにひたすら怖い怖いというのです。
そのくせに何故か…こう言っていました。
俺はあの子を克服しなきゃいけない。そんな気がする!
私からすると意味不明で面白くて仕方なかったです笑
その後、彼にはよくその子の話をされました。
克服するために体重何キロ?て聞いてみようと思うんだけどどう思う?
バカじゃないの
なんで?いい案だと思ったんだけどなぁ…
これです。その後も、止めても聞きやしない。
「あのさあ、どこの世界に対して良くも知らない人から体重聞かれて喜ぶ女の子がいると思う?」
「いやでもいけると思うんだよね、よし本人に聞いてみよう!」
と言って本当に聞き、彼女を怒らせていました。当然ですが。
「なんでだろう?」と悩む彼に、「アインシュタイン先生でもそんなこと言わないよ」と呆れ混じりに答える私。
彼との会話は常にこんな感じでした。
※彼はアインシュタインをとても尊敬していました。曰く、先生はすごい!いや私だって尊敬はしてるけども…
人の気持ちがわからないーと彼は常に言っていました。
でもそれは、当たり前じゃないか。みんなそうでしょ?と。
故に、自分が抱いた疑問を彼女にぶつけてみてもいいじゃないか、と。
いやまぁそうなんだけどさ。みんなそうでしょ?の感覚がずれてんのよ。
明らかに良くない反応されるものくらいはわかるわけよ。と思った私が次に言ったのは…
ただ大抵の人たちは、相手の表情や仕草、発言から相手の感情を推察して話してるよ。
自分が聞かれたり、されたりして嫌なことはしない、てね
何でそんなことわかるの?分かった!!ひろさんてエスパーなの?!
なんでやねん…まぁいいや
そう、実は私エスパーやねん
まじか、じゃあ俺が今飲みたいもの当ててみて。
あー私のはな、そういうのじゃなくてさ。人の気持ちを読めるねん。
そういう系。
彼を見ていて思うのは、彼はまるでその悩みを生きづらいとは思ってないということでした。
彼の思考の中心はいつだって、「自分の興味のある物事」に全振りでした。
そこに必要以上に「対人」というものが存在しないのです。
悪気なく、自分が興味のあることを実行する。
特に彼は研究分野について貪欲だったのでそのあたりの話も良くしていましたが、やっぱりそこは興味分野。
いわゆるとても真面目な会話が出来ていたと思います。
前述した経済の授業とは違い、本気で興味をもっていることがよくわかりました。
彼は、こちらがわの人間らしくマイルール(LINEを自分が送ったら、必ず次は相手の番である、とか)やうちに出没したGを冷凍スプレーで凍らせ動き出す瞬間を観察するために持ち帰る、というような変人っぷりを発揮はしていたのですが、不思議な適応能力と他人に憎まれない何かを持っていました。
あけすけなことを言いつつも悪気がないと分かるから、というところで周りが何とか許容していたのが一つ。
体重を聞かれた彼女も、「別にいいんだけどさ。」と言いつつも、「そういうこと言われて喜ぶ女の子は少ないと思うからやめたほうがいいよ」と指摘してあげてました。優しい。
…彼は納得いってなさそうな顔してましたが笑
もう一つは、先程言ったように彼自身基本的に「自分が何を思い何をしたいか」にしか思考が働いていないことだと思います。
他の人が気にする「誰にどう思われているか」というのが彼には一切ありませんでした。
だから、彼にその手の話が浮上したとしても「あーそういえばなんかそう言われたことあるなぁ」その程度なのです。
かと言って、適応能力や順応性がないわけではない。
社会に出てからというもの、彼はちょっとだけ、そう、面白くない人になりました笑
いわゆる、「ふつーの社会人」をきちんとしてるのです笑
先日彼に、「面白くなくなったな」と告げてみたところ、「やっぱり?俺もそう思う」と言うので何で変わったのと聞いてみました。
社会人になって営業して、社会性というものを強制的に身に着けさせられたから。けど、中身は変なまま。外見だけ整ってるように見せかけてる
彼曰く、こんな感覚のようです。
どうやら、彼は社会に出ることで否応なしにカモフラージュの術を身に着けた様子。
ただやっぱり、彼のすごいところは自分の好奇心に忠実なところ。
外見を取り繕っても自分自身を失わずに、興味関心事にただ忠実に進めることだと感じています。
余談ですが、彼はまた仕事を変えるそうです。
次で3度目の転職となるわけですが、自分のしたいことに貪欲で、3年も1つのところで働けばもう十分だし満足だから次行く。次はねー、これがしたい!と言う彼は転職に伴うリスクや不利益など微塵も考えていませんでした。
結婚もしている彼にとっては悩んでもおかしくないところではあるのですが、そこを考えずに進めるのは間違いなく彼の長所でしょう。
まさに見ていて、ASDとしての力を遺憾なく発揮できているタイプだと思います。
興味関心のあることと、思考の働き方がばっちりあっています。
余計なことに意識をとられずに進む彼の特性は、間違いなく個性であり才能です。
その点においては、本気で素晴らしいと思っています。
大学卒業後も細くゆるーく会話を続けている私たちですが、たまに話すとやっぱり面白いです笑
彼は私のことをいつも「ブラックホール」と称しています。
頭が良いことだけは分かるしとても尊敬してるんだけど、全く底が見えない感じ。あと俺と似てる気がする!
まぁそうでしょうよ
エスパーだとか適当なこと言って遊んだのがまずかったかな笑
多分これを読んだ方々は、「いや両方変だよ」と思われると思うのですが笑
ASD同士の変な会話をちょっと楽しんでいただけたら幸いです。
あとは、障害と思わずに生きている彼みたいなタイプもいるんだなと思ってもらえたら笑