こんにちは。ひろASD@ひろです!
※この記事は、ひろが自己開示をした時のお話です。
息抜きの読み物程度に楽しんでいただいて、ちょっと暖かい気持ちになっていただけると嬉しいです。
私が自己開示をする時の明確な基準は全くありません。
話をしていて、ピンと来た時。
シンプルな自分の直感に任せています。
そんな時は特に何も思わず「私発達障害なんだよね」と、打ち明けてみます。
それはそう、まるで「昨日カレー食べたんだよね」くらい軽い感じで。
驚く人・身構える人・気を遣ってくれる人…色んな人がいますが、ここでは私の記憶に特に残る「先輩さん」と「後輩くん」の物語をご紹介します。
「先輩さん」の場合
先輩さんに出会ったのは、2つ目の就職先。
私より2年ほど先輩でした。
仕事が出来て、すらっとしたイケメン。
違う部署で働いていた私でも、先輩の名前は聞いていました。
そして実際の対面を果たしたのは、部署の違う私たち同士が一緒に働くことになった時。
話してみると仕事に一生懸命で、自己主張激しめ、「クズ」「仕事辞めたら良いねん」ときついことも平気で言う人でした笑
あ!勿論本気で言っているわけではありませんよ?
関西人によくある愛嬌みたいなもんです。
それでも、きつさの中にある面倒見の良さはなるほど、噂通りの素晴らしい先輩でした。
そんな折、私の異動が決まり先輩は私の先生になってくださいました。
異動箇所ではスピードと的確な案内が求められるため、異動までに「このマニュアル全部読んで覚えろ。5秒で出来るようになってからこい」と言われた時は泣きそうでしたが、何とか努力を重ね異動初日。
先生として昼夜自分の技能を惜しみなく見せてくださった先輩の仕事ぶりにはとても感銘を受けました。
的確な案内・作業スピード。どれをとってもお客様に満足してもらうために必要なスキルを兼ね備えた人でした。
「誰が生徒かに関係なく、先生ってのは疲れる」そう言えるほど、先輩は私にミスをさせない為・お客様に迷惑をかけない為、神経をすり減らして見ていてくださったのです。
その時、この人に認められる人になろう。先輩から奪えるものは全部奪ってやると強く思ったのを覚えています。
ひとり立ちしても先輩は後ろから私の仕事をみて、「こっちのが早い」と仕事を教えてくれるようなタイプだったのでいつしか私の目標となっていました。
そんな先輩の、真の姿が見えたのはお酒の席のこと。
まぁ、酒癖がほんっっとに悪い!
気持ちよく永遠にほろ酔いで飲んでるタイプでした笑
先輩のイメージに、お酒大好き。
いつもより更に口が悪くなるけど、意外と誰かにぴしゃっと言われることには弱い。が追加されたのです。
そんな先輩にその時言われたのが、「ひろは、大学からして優秀だ」ということ。
正直、自分でも良い大学にいったことは自覚しているので、言われ慣れていることではありました。
時には皮肉交じりに自分とは違って…的に言われたこともありましたし、頭が良いんだねと言われたこともちらほら。
私は学歴が欲しくて大学を目指したわけではなかったので大抵うんざりもしていたのですが、先輩がその後続けた一言は私にとって衝撃的でした。
「俺はバンバンかけますよ、学歴フィルター。だってそれは、中学・高校と本人が必死に頑張ってきた結果でしょ?それを評価するのは当たり前じゃないですか」
こんなこと、言ってくれる人いるんだ
私はその時、自分の心がとてもあたたかくなるのを感じました。
誰も、そんなことは言ってくれなかった。
自分のために勉強して自分が好きでがんばったことだから、誰に認めれられなくても良かった。
なんならどれだけがんばっても、未だに自分を認めることはできなかった。
それでも、自分ががんばった過去をこんな形で認めてくれる人がいるんだと思うと、とても嬉しかった。
先輩は、仕事ができて、イケメンで。酒癖悪いし、口も悪いけど。
面倒見がよくて、人の心を誰よりよく見てる、その人の背景を思いやれる優しい人でした。
だからでしょうか。話してみても大丈夫だと思ったのは。
サシで飲みに行って「私実は発達障害なんです」と打ち明けた時。
「そうか、俺実は結構そうゆう人見てきたから知識はあるほうやと思うねんけど、全く気づかなかった。
だから、周りに合わせるためにひろは相当努力してきたんやな」
救われました、本当に。自分が選んでがんばってきたこと。
誰のせいでもないから、誰も責めることは出来ないとずっと自分に矛先を向けてきたこと。
けれど、こんな言葉で思いやってくれる人がいるとは微塵も思ったことはなかったし、期待もしていませんでした。
そこにただひたすらに寄り添って、同情でも慰めでもなく、ただ自分のことを思いやってくれる人が世の中にはいる。
先輩はそれから、何か困ったことがあったらサポートするから、と続けます。
嬉しかったし、私の知らないところで沢山助けてくださったと思います。
それ以来、本当に仲良くしてくださいました。
先輩が仕事を辞める時に開催された計6回の飲み会は全部参加したし、何回朝まで飲んだか分かりません笑
帰り道の電車で、先輩が乗る快速と私が乗る普通で毎回揉めて、毎回何だかんだ私に合わせてくれてました。
未だに先輩がくれた言葉は、私の宝物のうちの一つです。
先輩に教えてもらったことを今後忘れることは絶対にありませんし、心から感謝しています。
あの酒癖の悪さはどうにかしたほうがいいですけどね笑
「後輩くん」の場合
後輩くんに出会ったのも、2つ目の職場。
異動してきたときから、やる気なさそうな気だるげな人だなーと何だかそんな印象でした。
がつがつがんばって上司に認められて、というよりはうまーく世渡りして、うまーく運を味方につけていくタイプ。
仕事、というものに全力投球の私からするとどちらかと言うとがっちりタイプ一緒です!とはいかない感じ。
「だるいわー」と普通に言うし、お客様の悪口もいとわない子なのでこーゆータイプかーというくらいで他は特に何も思わなかったというのが正直なところです。
コミュニケーションはうまくとる子だったので、異動してきてもあっという間に馴染んでいたと思います。
先輩、後輩というよりは、みんなの友達になっていく子でした。
そんな彼と仕事をして職場の話をしていると思うことがありました。
とても良く人のことや周りの雰囲気・上司の動きを見ているのです。
その時、私の中の彼の印象が変化しました。
意外とちゃんと周りの状況みてるんだな。
いやだからこその運の良さか…
思慮深さ、といえば少し違うのですが、例えば誰がこういう想いでこう動いている、とかそういったことを「察する」力に長けているとでも言えば良いのでしょうか。
人の気持ちや動きを感じ取るのがとても上手なタイプだと思いました。
そして、柔軟にその思考を動かしていけるから、人に対する印象が凝り固まることもない。
そんな彼だから、やる気のなさを全面に押し出してはいても憎めないタイプとして成立するのでしょう。
やる気なさを全面に出している人は、私はどちらかと言えば苦手なのですが、なんとなーく話しやすかったのです。
だからでしょうか。ゆるーく切り出したのは。
「私実は発達障害なんですよね」
彼は驚いた顔でこう言いました。「えっ、まじっすか?」
でもしばらく考えた後、彼は続けます。「いやでもだからかー、俺先輩の言ってることまるでわかんなかったんすよ!」
え、何どういうこと?
「いや、勿論人間だし話してる内容はわかりますよ?ただ、その話から先輩が何を考えて、どういう思考でそうなってるのかが全く読めなかったんすよね」
やっぱり、彼は人との会話からその人の思考を理解し行動分析を行える人だったことがこの会話ではっきりとわかりました。
そして、私が苦手なこと・得意なこと・人とどう違うのか…それらを語るうち何故か彼の目がキラキラしてくるではありませんか。
なぜ!?
彼いわく「新人類じゃないですか!そうゆう人が今後世界を動かしていくんですよ!俺もそっち側が良かった、すごい!」
「本当に感動することに触れた時、俺目がすごいシパシパするんですけど、今やばいです。それです!」
これも新しいパターンでした笑
まさか、そんな反応をする人が世の中にいるなんて。こんな反応があるなんて。
もっと聞かせて!とばかりに興味深そうに聞いてくる人は初めて見ました笑
と同時に、察しのいい彼のことなので私がどこにつまづき、何を大変だと感じてきたのか今まで自分がみてきた「私」と私が話す「私」がようやく合致したようです。
それ以降も、ちょいちょいこの話をするのですが彼は毎回とても羨ましそうに話をしています。
曰く、「それは才能で、最近テレビとかで先輩と同じようなこと言ってる人たちを見かける度に俺この話聞いたことあるぞ!てなるんすよね。だからやっぱすごい!!笑」とのこと。
自分にとって「重い」と思っていた話をこんな風にゆるーく、それこそ「今日雨ふるってー」「まじかー」程度に出来る日もくるんだなと今は感慨深いです。
私の話を聞いて、
「いや俺知ってるからそうやなってわかりますけど、普通に何も知らんかったらそれただのやばいやつですからね!?笑」
とツッコミを入れてくる彼を見てると、笑い話にもなってとても楽しいです。
この話題で笑いがとれるなんて!
何かを真剣に話す、というわけではなくこんな感じでどこまでもゆるい会話なのですが、彼に言われた「新人類」は、何だか気分が良かったので良しとしましょう^_^
そして自分にとって、発達障害というのは今はもうその程度のこと。
悩むことはあっても苦しむだけじゃない。だからこのくらいのゆるさでちょうど良いのだとも。
彼との会話を通して、そんなことも感じられとても嬉しかったです。
余談ですが、彼の彼女ちゃんもどうやらこちら側ではないかとのこと。
私に聞いた話をそのまますると、「それ、私も同じだ…」と涙を流していたそうです。
彼女ちゃんの話を聞くたびそんな予感はしていたのですが、人と人は繋がるべきところで繋がるもんだなと思います。
私の話す話が彼女ちゃんの役にたてばいいなと思う今日このごろです。
全然タイプのちがう「先輩さん」と「後輩くん」。
けれどどちらも、理解を示しふわっと私の心を暖かくしてくれた人たち。
とても感謝しています。
世界は広い!
自己開示の末、自分のことを知ってもらい相手のことを知り、大切な会話が増えていくのは私にとってとても貴重なこと。
どうか、これを読まれたみなさまにも彼らの暖かさが伝わりますように!